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2002年2月9日土曜日

南信濃紀行01

2002/2/9 晴れ。
09:00
新宿発、飯田行きのバスに乗る。三連休ということもあり、中央高速はスキーを車の上に載せた車で込んでいた。
昼を過ぎ、長坂を過ぎたあたりで寝てしまう。
13:00
起きたら飯田駅に着いていた。
14:20
和田行きのバスに乗り込む。
天竜川を渡り、山へと入っていく。ずいぶん登っていくとようやく下りになった。山の斜面は思っていたよりも急ではないが、所々切り立った岩壁となる。川と平行する道、その途中とちゅうに集落、家が建っている。家のすぐ後ろ側には茶を植えているらしい畑がある。石や丸太などで土止めをしてある。一部の小屋は、静岡井川のあたりで山に作る、出小屋と似ている。田んぼは見なかった。
山中に焼畑の様子を見つけることは出来なかった。
道(川)のすぐわきに家と畑がある。河岸段丘というには少し狭いが、峻険というわけではない。


16:00
バスの終点、和田の集落につく。今まで通り過ぎてきた、どの集落よりも大きい。
16:30
宿に荷物を置くと、すぐに温泉へと向かう。
途中、ふらふらっと山裾の近くにある小屋を見に行く。小屋は物置のようである。前には小さく切られた直径30mm程の枝や、割られた木がごろごろ転がっている。薪だろうな。
小屋のまわりは畑である。それもバスの窓から今まで見てきたものと同じ様子。やはりお茶のよう。
畑の中を登っていくと、大きな木があり、その根元に直径400~800ぐらいの丸太が置いてある。それも一つではなく、そこかしこの木の根本に一つづつ置かれている。なんと、家の庭木の根本にも発見。なんだこれは?
17:00
風呂。
18:00
帰宿。
18:30
食事。ここでは触れないが、宿の主人からいろんな話を聞く。
23:00
寝る。

2002/2/10 くもり
06:30
起床。まだ少し暗い。
07:00
朝の散歩。
08:00
朝食。
09:00
和田城にいく。霜月祭りの説明、祭りで使われる面の複製などが飾られている。
11:00
薬師寺でお祭り。朝、宿の主人に教えて貰っていたので覗いてみた。30人ほどが集まっている。龍渕寺から住職がきて読経。
この土地には昔お寺が建っていた。それを盛平山に移したので、この土地を青年会に貸した。無料で貸すかわりに薬師寺さまをまつることにしたとのこと。紅白のおもちをいただいて帰った。
隣には庚申さまもまつられている。なくしものをしたときにお祈りをすれば、それが見つかるそうだ。
「昔、旅人が宿をとり休んでいたときに、その荷を盗んだ者がいて、困った旅人は庚申さまにお祈りをしたそうだ。したらば、その盗人は峠辺りまで逃げていったときに、足が疲れてしまい先に行けなくなったので、荷物を旅人のいる宿に返したんじゃと。」 そういう言い伝えがあると、話を聞いた。
12:30
宿の主人の好意で、他の集落に連れていって貰う。この人には本当にお世話になった。
上島、木沢、上村下栗を回る。
上島には、和田城に飾られている面を作った面打ち師のアトリエがある。あいにく、本人は不在。
この辺りの集落では、トタンで屋根を葺き、タイヤが載っている。昔は板葺きの家だったのではないかと思う。昔はクレ(榑)を年貢として納めていたというから、確かだろう。
神社などはよそと比べてこじんまりとしたものが多く、権威の象徴と言われる屋根も、勾配が小さく、またヒラ入りであるためか、質素な印象を受ける。
白山神社に入れてもらった。
入ってすぐのところに、霜月祭りで湯をわかすかまどがあった。左側には神さまがおられる奥まった場所があり、二段ほど高くなっている。その手前は三つの場所に分かれており、入り口のところに受付のような場所がある。実際に祭の時にはそのような役を担う場所である。そして、神さまの前座があり、そこからまた一段高くなったところは畳敷きであった。
湯をわかすかまどは青みを帯びた灰色。下の部分にワラスサが見えた。その上はコンクリのようである。これは祭の度に、土とワラスサを使って塗り直すらしい。かまどの上にはヒダナがあり、御幣が下がっている。周りの壁には祭の次第を書いた紙が貼ってある。
次に南信濃の隣町、上村の下栗へ向かう。ここは日本のチロルらしい。
急な上り坂を上っていくと、その斜面にへばりつくように家が建っている。その周りは茶畑。上って行くに従い、傾斜も少しましになる。
遠くに雪を被った聖岳が見える。とても景色がよい。
15:00
和田に帰り、薬師寺サマでもらった餅をぜんざいにしていただく。
15:30
また、和田の中をフラフラと歩き回る。晴れてきて暖かい。
和田の集落をほぼ一回り。木の根本においてあった、謎の丸太の正体は蜂に巣を作らせるところだった。これは皆が個人で勝手に自分用にやっているものらしい。作って3年ぐらいは蜂は入らないそうだ。
諏訪神社の前の道を歩いて帰る。家にうだつの着いているところが、数件ある。道を挟んで向かいには物置、トイレなどがある。家の裏斜面にはお茶や梅の木などが植えられている。蔵が所々にある。
18:00
帰宿。
23:00
寝る。

南信濃紀行01    絵と文:樋口潤一