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2013年10月1日火曜日

お伊勢さんのご遷宮


今年2013年は、20年に一度の伊勢のご遷宮と、60年に一度の出雲のご遷宮が重なる年。
近年、俄にパワースポットとして注目を浴びるようになった伊勢も、とてもにぎわっています。参拝の玄関駅・伊勢市駅もすっかり綺麗になりました。

そんなご遷宮もいよいよクライマックス。ご神体が新しい社に移る遷御は、内宮が明日、外宮が5日に行われ、20年に渡る神事も終わりのときを迎えることになります。
とは言っても、ご遷宮はほとんどの行事が神宮のなかで行われ、一般の人間が見たり参加したり…ということはまずありません。が、いくつかの行事で、いわゆる「神領民」と言われる一般の人たちが参加できる行事があります。
その最後がお白石持行事。数年前からのご縁で、なんとその行事に参加してきました!

ちょっと遅くなりましたが、そのレポを以下に。




お白石とは神宮の社殿の足下に敷き詰められる石のことで、これは予め神領民の人たちが宮川の上流の河原で拾い集めたもの。これを、内宮領はソリで、外宮領では山車で運び、神宮にお納めするのです。

私が今回、お白石持行事に参加させてもらったのは外宮領の河崎六ヶ町。河崎はかつて神宮の舟参宮の拠点でもあり、伊勢の台所として栄えた商業の町でもありました。

河崎。今は、古い町家を改装したカフェや雑貨屋があります。

河崎六ヶ町が奉曳する前日の8月22日夜、車に桶を積みこむ作業が行われていました。道路を封鎖し、投光器を煌煌と照らして、皆さん仕事終わりにも関わらず、生き生きと作業。

六ヶ町の車。積み方は予め練習しておくのだそう。右は、外宮にお納めするお白石。


最大級の車を持つ船江地区は、車輪を降ろすのにクレーンが登場。23日は河崎六ヶ町も含め外宮領10地区が奉曳。他の地区の方たちもおのおの、作業を進めています。
23日は最後の奉曳となる船江地区の車。


奉曳の日の23日、六ヶ町の人たちはバスで出発地点へ集合。1000人以上が参加するとのこと。今年の夏は伊勢も蒸し暑い日が続いていて、7月の内宮への奉納から2ヶ月に渡って続くお白石持行事でも奉曳の途中に熱中症になる人も出ているとのことで、出発前はポカリで乾杯、看護師さんやお医者さんも同行の奉曳となりました。

飾り付けも終えた六ヶ町の車。参加者全員にミニポカリが配られ、乾杯&飲み干して、出発。

お昼に出発した河崎六ヶ町。外宮までの道を、時々遊びも交えつつ、2時間かけてゆっくりゆっくり、外宮まで運んでいきます。石を積んだ車は多分、2トンぐらいにはなるのでは?とのこと。綱を持つ場所にもよるかもしれませんが、なかなかに重い手応えです。


引き綱は地面に直接置いてはならないため、休憩のたびにゴザを敷き、綺麗に巻き取っていきます。どんどん引き手が減っていくので、車に近ければ近いほど大変。「若い男は車に近いほうへ!」と、次々引き抜かれてゆきました(笑)

そんなこんなで、外宮の外へ到着。最後は「えんや曵き」で一気に外宮内へ引き込みます。決められた法被を着ていること、足下は足袋であること、65歳以下であること、が、えんや曵き参加の決まり。何故なら、2トンの車を引き込むのに、全力疾走するから。
何故だか全部合致している私は、もれなくえんや曵き。綱を持ち、200メートルほどを疾走。
綱を引くというか、綱にもってかれたというか。
も、どうにかなるかと思った……。
「えんや曵きのために、身体鍛えとるもんね」と、いつもお世話になる人が言ってました。確かに。。。

ちなみにここからは、新しくご正宮となる社の足下まで入るため、写真はなし。
まさかそこまで入れてもらえるとは思ってなくて、できたばかりの建物に、しばし見入ってしまいました。
石は一人一個ずつ持って入り、その社の足下に置いてきます。これで、奉納は終わり。

外宮の新しい社を外から。5日には、ご神体がこちらに移られるはず。

奉納を終えて外宮の外へ出ると、六ヶ町の3つあとに奉曳していた神久社地区がえんや曵きのところでした。お客さんも一番盛り上がってます。



さて、お白石を奉納して万事終わり……ではなく、このあと車を各地区へ戻す「かえりぐるま」があります。遠い地区ではトラックに載せて帰るところも多いそうですが、六ヶ町は外宮から歩いて20分くらいなので、人力で曳いて帰ります!

かえりぐるままでの間、食事休憩をしていたら、最後の船江地区の車が、
トラクターに曳かれて外宮から出てきました。デカい。

六ヶ町の「かえりぐるま」は、夕方18時に外宮前を出発。石も降ろしたので、綱も短く、人手もコンパクトに、まずは外宮参道を伊勢市駅方面へ。わんなりの「ギィィィィィ…」という音と、曵き手の「えんやー、えんやー」の声に、観光客の皆さんも足を止めたり、宿の窓から見ていたり。

外宮参道を行く「かえりぐるま」
信号も車もバスも止めて進む。JRの踏切だけは通過待ち。開いたところで一気に渡る。

普通に歩けば外宮から徒歩20分の河崎だけど、その道を「かえりぐるま」はなんと2時間半かけて帰りました(笑)「これが最後だ、楽しめー!!!」って感じで、進んでは遊び、遊んでは休む。
石を載せていたときはやはり〝神宮に奉納〟だったけど、帰りは完全に人々のお祭り。
途中、車の飾りの提灯が燃えちゃったりなんてハプニングもありましたが(電球ではなくロウソクなのです)、夜の20時30分、無事に河崎の倉庫へたどり着くと、皆さん、「終わったねー!!!」と感極まった感じでハイタッチにハグに。
次のご遷宮の御木曳きまで、これから13年、車は眠りにつきます。


長い長い一日が終わった翌朝、朝一番のバスに乗って、内宮さんへ参拝に行ってきました。宇治橋を渡ってびっくり! 五十鈴川の水がからっから……! そして、朝なのに、人が多くてびっくりした……。
内宮も新しい社殿が出来上がっていて、今頃、明日の遷御を控えて厳かな空気になっていることでしょう。20年を経た社殿と真新しい社殿が並ぶのは、今ならではの光景。そのうちに、古い社殿は取り壊されていきます。

宇治橋の上から五十鈴川。からっからの8月24日朝。右は、内宮の新しいお社。遷御を控えて。

……と言いましても!
伊勢の遷宮とは実は、摂社・末社含めた125社すべての遷宮をさすもの。内宮・外宮の遷宮を皮切りに、順次125社も新しい社がたてられ、ご神体がお引っ越しになります。これら摂社末社の遷宮のスケジュールは特に神宮から発表されることもないようなので、偶然、立ち並ぶふたつのお社に出会ったら、かなりのラッキーです。


さて。今回は何ともバタバタな伊勢旅になりました。そんななかで、私の気になったもの。「赤福氷」。抹茶のかき氷赤福添え、みたいなものらしいのですが、結局、食べられずじまい。定番メニューになるのかな? ご遷宮のときだけ?
それから、外宮の参道が随分と様変わりしていて、美味しいパン屋さんが出来てました!ここでパンを買って、お昼ご飯に車中齧りながら、名古屋へ帰りました。

あと、密かなお薦めをふたつ☆

左は、河崎の洋菓子「シラセ」さんのアイスキャンデー。
お白石持の奉曳で、休憩のときに一人一本ずつ振る舞ってくださったのです。これがまた美味しかった〜。素朴で、でも味がしっかりしていて。
奉曳のときは、私はイチゴミルク味をいただいたんですが、つい帰りがけにお店に寄って、オレンジを購入。パンと一緒に齧って帰りました。
何たる至福…!!!

で、右は「復刻エスサイダー」! 明治時代に河崎で作られていたサイダーを、誕生から100周年の記念に復刻したもの。サイダーはあまり飲まない私だけど、これは美味しかった! 多分、河崎の『河崎商人館』でしか売っていないはず。
ちなみに過去のブログでも紹介している『河崎商人館』、もともとは、エスサイダーを製造していた『小川酒店』さんの建物です。素敵な建物なので、伊勢参拝の際は、河崎にもちょこっと寄ってみてください。

(伊勢河崎商人館サイト↓)